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二人の父

誰が父親かは子供が決めること。

17日の最高裁判決で、
親子関係不存在確認の裁判にて、
DNA鑑定による血縁上の父親ではなく、
民法の嫡出推定による戸籍上の父親を
その子の父親とし、妻側の訴えを退けた。

これは賛否両論あるが、
どちらとも甲乙つけがたい。

報道されているように、
DNA鑑定の正確性の問題もあるし、
民法の規定が古すぎて時代にあってない、
とも言えるし。。。

ただ、法律を勉強した者としては、
この民法による子供の法的安定性を
重視した判決だと思うので、
私はこの判決を支持したいとこ。

でなければ、これからどんどん
同じような問題が起きかねず、
やみくもにDNA鑑定されて、
鑑定の悪用によっては、
本当の親子が親子でなくなってしまう
危険性も十分に考えられる。

そもそも不倫をしていた妻が大問題だが、
当人はどういう心境で裁判をしたのであろうか。
報道にはされない複雑な事情もあることであろう。。。

 

ちょうど山崎豊子の「大地の子」を読んでいた。

日本の戦争孤児として中国の養父母に育てられた主人公は、
数十年後、日本の本当の父親との再会を果たす。

日本の父親としてはできれば日本で子供と暮らしたい。
中国の養父母は、日本の父親に返すべきだとは思っていながらも、
本心は自分が育てた子供であり、渡したくない気持ちもある。

血縁の親と育ての親、双方から大切に想われ、
主人公自身の心も揺れ動く。。。

最後は自分でこれから住むところを決めるのだが、
どちの親とも築き上げた信頼関係は揺るがないであろう。

 

今回の裁判、この子供が将来大人になったとき、
自分自身のことをどのように考え、
戸籍上の親、血縁上の親と接することになるのだろうか。

母親の身勝手な行動が、
残される子供の将来にいつまでも暗い影を落とす。
それを乗り切れる人間に育って欲しいものだ。